ユタ州に住んでみた

50代からのアメリカ移住。ユタ州の実態を発信中。


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極貧ハワイ生活〜ハワイで不妊治療③〜

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①②からの続き👇👇

貧乏によるストレスのせいか

ポケオの夢遊病は

どんどん悪化して行った。

 

ある夜、

安らかに眠る私の上に

『危ないっ!!』

と叫びながら

ポケオが両手を広げ

覆いかぶさって来た。

 

何?何?何?何っ?

 

私はビックリして飛び起きた。

 

危ないって何が?

訳が分からないまま

とりあえず私の上に乗っかっている

ポケオに向かって

 

『どうしたの?』

 

と尋ねた。

 

ポケオは息をハァハァさせながら

 

『タ、タクシーが

突っ込んで来たっ!』🚕

 

と言った。

 

ポケオの説明によると

二人で散歩していると

突然暴走したタクシーが突っ込んで来たので

両手を広げて私を守ってくれたそうなのだ。

 

命懸けで私を庇ってくれたポケオ。

そんなに私を愛してくれていたなんて

どうもありがとう😭

 

ってなるか!ボケェ。

 

 

こんな真夜中に

一体何がしたいんじゃっ!

えー加減にしろやっ!💢

 

せっかく気持ち良く寝てたのにぃ…

私は驚きと怒りで心臓がドキドキし

結局朝まで眠れなかった。

 

ポケオは毎度毎度私を起こすだけ起こして

自分は何事もなかったかの様に

スヤスヤ眠ると言う世界一迷惑な男だ。

 

その迷惑男が

ある日深刻な顔をして私に言った。

 

『ババヨちゃん、

今月の家賃が少し足りないから

休みの日に日雇いのバイトをしようと思うんだ。』

 

迷惑男は新聞を広げて

電話帳を配る日雇いの仕事の求人を私に見せた。

 

『あ、そう。頑張ってね。』

 

『え?助けてくれないの?』

 

『え?私もやるの?』

 

私=ポケオ一人にやらせる気満々。

ポケオ=二人でやる気満々。

 

数秒間気まずい空気が

二人の間に流れた……。

 

『わかったよ。やるよ。』

 

ったく

昼も夜も迷惑な男だ。

 

次の休みに二人で

せっせと電話帳を配るアルバイトをした。

 

この仕事、想像以上に大変だった。

電話帳がめっちゃ重い上に

ハワイはエレベーターがないアパートが多いので

電話帳を何冊も抱えて

階段の昇り降りするのがキツかった。

 

『疲れた〜。

『喉乾いた〜。』

『トイレ行きた〜い。』

『暑い〜。』

 

文句ばかり言って

休憩しようとする私とは違い

ポケオは黙々と真面目に仕事をこなしていた。

 

とある田舎の住宅街の

一件の家の敷地に足を踏み入れた時、

放し飼いにされていた

ピットブルが物凄い勢いで走って来た。

 

ピットブルは私に向かって

牙を剥き吠えまくる。

 

私は恐怖で足がすくみ動けなくなった。

 

ピットブルは今にも飛びかかって来そうだ。

 

このままでは絶対に襲われる……

私、死ぬかも……

 

私の真横にポケオが立っているのが唯一の救いだ。

 

何かあれば

きっとポケオが助けてくれるに違いない。

 

ポケオはジワリジワリとゆっくり後ずさりし

視界から消えたと思ったら……

 

 

 

私の後ろに隠れた。|-・)      え?

 

 

今こそ助ける場面

ちゃうんかーい!!

 

ピットブルの鳴き声は勢いを増し

もうダメだ…と思った瞬間、

飼い主が私たちに気付いて

慌てて犬の名前を呼んだ。

 

ピットブルは吠えるのを止めると

あっさりと飼い主の元に走り去った。

 

 

た、助かったぁ……

怖かったよぉ……

私は安堵しその場に座り込んだ。

 

『ババヨちゃん、大丈夫?』

 

『は?

アンタさっき

私の後ろに隠れたよね?』

 

ポケオはそんな事はしていないと言い張った。

 

しかし私は視界の端で

ジワリジワリと後退する

ポケオの姿を見たし

私の背後に隠れる気配を感じたのだ。

 

まぁ、いざとなったら自分が大事って言う

気持ちはわからないでもない。

パニックになって

正常な思考回路が停止する事もあるだろう。

 

いずれにせよ

ポケオが命懸けで助けてくれるのは

☆夢の中限定☆だと学んだ。

 

私はサボってばかりだったが

ポケオが真面目に働いてくれたお陰で

無事に電話帳を配り終え

家賃も期日までに払う事が出来た。

 

仕事を終えた時に

受け取り拒否をされた

電話帳とビニール袋が沢山残った。

 

『このビニール袋は

生ゴミ捨てるのに丁度いいね。

少しもらっとこ。』

 

そう言う私にポケオは

『ババヨちゃん、

これは僕たちの物じゃないでしょ?🕊』

と言った。

 

えーだってぇー

いらないって言われたんだから

もらってもよくね?と思わなくもなかったが

『そうだね。ごめん。』

と言ってビニール袋を戻した。(・д・)チッ

 

会社に電話帳とビニール袋を

返しに行った時に

ポケオがボスに

『電話帳を一冊もらってもいいですか?』

と聞いた。

 

ボスは

は?わざわざそんな事

聞かんでもええがなって顔をしながら

『んなもん、何冊でも持って行け。』

と言った。

 

それ見ろー!

やっぱビニール袋だって

もらっても良かったやんけー!

 

ポケオは

『ありがとうございます。』と言い

山積みになった電話帳の中から

一番ボロボロの電話帳を選んで手に取った。

 

『もっと綺麗なの選んでよ!』と言いたかったが

これがポケオの性格なので諦めた。

 

家の中にボロボロの電話帳があるのは

ちょっと嫌だったけれど

その破れた電話帳を見る度に

ポケオの誠実さと優しさを感じた。🕊

 

 

不妊治療をお休みして

2年くらい経っただろうか……

私たちはまた不妊治療を始める勇気も

タイミングも完全に見失っていた。

 

ある春の日の朝、

私は目覚めたばかりで

まだウトウトしていた。

その時、誰かの声をハッキリと聞いた。

 

『今すぐに不妊治療を始めなさい。』

 

それは小さな囁く様な声だったが

私の心にしっかりと届いた。

 

横で寝ていたポケオを起こして

『さっきね、

今すぐ不妊治療を始めた方が良いって感じたんだけど

どうする?』

と聞いた。

 

ポケオはニッコリ微笑んで

『そうしよう。』

と言った。

 

その日私たちは

早速病院に電話をして予約を入れた。

 

二人の赤ちゃんを迎える為の

新たな冒険が始まった。🚢

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#ピットブルの件は一生忘れない

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